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マジすかHKT~第四十一.五話

「ウッディー・ニードル!」

田中菜津美の拳が高橋朱里の全身を貫くと、
その無数の針に刺されたような傷を負った身体は、
力なく校庭の土に倒れた。

「そんな、魚が死んだような目をしてちゃ、私には勝てないよ。」

そう言い放ったボス(田中菜津美)が周りを見渡すと、
井上由莉耶が「ラビリンス・エース」の技で、
木崎ゆりあの「マジック・トランプ」とのカード技対決を制し、
植木南央が、同じく難波のさや姉に師事した、込山榛香との
「アゴー・ブレード」対決を制したところで、
校庭に居たマジすか学園のメンバーは一掃された。

ひとまず、校庭での戦いが、自分たちの勝利に終わったことを確信したボス(田中菜津美)は、
自らの拳をおろした。

「バコォッ!」

校門に背を向けて立っていたボス(田中菜津美)は、
突然後ろから強い衝撃を受けて、地面に前のめりになって倒れた。

「急に、なんだよ!」

そう言ったボス(田中菜津美)が振り向くと、
そこには4人の特攻服を着たメンバーが居た。

「ったく、私らが卒業したら、この体たらく。
マジすかは一体どうなってんだい?
なぁ、前田もそう思うだろ?」

前田敦子は校庭に倒れているメンバー達を見ると、ため息をついて言った。

「そうね・・優子の言うとうり、今のメンバー、マジが足りないかもね。」


そして二人の会話を聞いていた後列のショートカットのメンバーも口を開いた。

「優子さん、私らもやりますか?」


そう言われた大島優子は、後ろを振り向くと不敵な笑みを浮かべて言った。

「いいねぇ、サド、お前も言うようになったねぇ。
シブヤ、お前はどうなんだよ?」


篠田麻里子の隣りに居た板野友美は、ポキポキと指を鳴らしながら言った。

「どうって、こんな面白いこと、やるに決まってるだろ!」


その答えに満足した大島は、笑みを浮かべると、
目に前に居たボス(田中菜津美)を鋭い目つきでにらんだ。

「じゃぁ、まず手始めに、このつまようじをやっちまおうぜ!」


そう言った大島は、ボス(田中菜津美)の胸ぐらをつかむと、
右の拳を大きく振り上げた。

「やられるっ。」
そう思ったボス(田中菜津美)が目を閉じると、後ろから聞き覚えのある声がした。

「待ちなっ!」


大島が声のする方を見ると、そこには小さな二人組のメンバーが立っていた。

「なんだ、子供か。随分威勢がいいじゃないか。」


そう言われた二人は腕を組み、頬を膨らませる。

「私は矢吹奈子。」


「私は田中美久。私達、もう子供じゃないもん。」

挿入歌:生意気リップス


大島はボス(田中菜津美)から手を放すと、腰に手を当て、ため息をついた。

「どう見ても子供じゃねぇか!子供は家帰ってネンネしてな!」


そう言われたなこみくは、それぞれ左右のポケットからリップを取り出して両手に持つと、
四人に言い放った。

「私達をなめると、火傷するよ!」


そしてそれぞれ両手に持ったリップを一つにつなげて力を込めると、リップの先からビームの刃が形成された。

それを見た大島は言い放つ。


「面白いことするじゃないか。でも、それで私らを倒せると思ってんのかい?」


そう言われたなこみくは、意に介せず、お互いをみつめて「せーのっ。」と言って前を向いた。


「チーキー・リーップス!」


”ズォォォーン”


二人の持つリップの剣から衝撃波が放たれ、大島たちの前で砂埃が舞い上がる。


「・・何だぁ、脅かしやがって。埃が舞っただけじゃねぇか。」


そう言って前に進もうとした大島だったが、隣りに居た前田に腕をつかまれた。


「何すんだよ。」


前田をにらんだ大島だったが、その前田は、指で足元を差している。


「!」


大島が足元に視線を移すと、その地面は大きく穴が開き、底が見えなかった。


「まさか・・こいつらは、次世代を超えた、新世代・・?」


なこみくを見ながら言ったところで、腕をつかんでいた前田が話しかける。


「優子、もう私たちの出る幕じゃないのかも。そろそろ引き際じゃないかな。」


少し寂しそうに言った前田に対し、大島はうつむき加減で言った。


「時代は・・変わっていくんだな・・。世代交代か・・。」


そう言うと大島は振り向いてマジすか学園とは逆の方に歩いていく。
そして前田と篠田、板野も続いて去って行った。


「やったー!」


なこみくは、敵を追い返した喜びから、リップを放り投げて、
互いの手をつないで周りながら笑顔で飛び跳ねた。
だが、数回飛び跳ねたところで奈子の表情が変わった。


「さしこちゃん達、大丈夫かなぁ?」


「苦戦してるかも。早く美久たちも追いかけよう。」


「うん。」


そう言った二人は、手をつなぐと一緒に校舎の中に入って行った。


→第四十二話に続く

※祝マジすか学園5放送決定!
※挿入歌で使用した”生意気リップス”は、控えめI love you ! (Type-C)のカップリングとして収録されています。
※ウッディ・ニードル=木の針=つまようじ
※ラビリンス・エース=HKTのネットゲーム、永遠のラビリンスで最高位のAカード
※アゴー・ブレード=アゴの刃
※チーキー・リップス=チーキー=生意気、リップス=リップス=生意気リップス
※こちらの第四十一.五話は、構成上の都合でボツとなった話ですが、完結後も引き続き小説へのアクセス数が伸びていましたので、再びまとめあげての掲載となりました。
※こちらの小説は”マジすか学園”、”マジやけん学園”を参考にしていますが、続編ではなく、完全新作で書かせて頂いています。
前作との関係上、矛盾点もありますが、ご了承下さい。 また、実在の人物とは関係ありません。



引用元 : http://48group.blog.jp/archives/1032968006.html

マジすかHKT~第四十八話

「いけっ、ハート・プラカード!」

麻友の右手から放たれた、スクエア状のエネルギー体が、回転しながら指原に迫る。

その指原は、麻友の技を見ることもなく、下にうつむきながら、何かつぶやいている。

「咲良、はるっぴ、みんな・・指原に力を貸して!」

指原のつぶやきが聞こえることもなく、
ハート・プラカードが指原の顔が隠れるまで近づくのを確認した麻友は、勝利を確信した。

”バシィィッ”

「何っ!そんな、まさか・・。」

当たったかに見えた、ハート・プラカードは縦回転をしながら、指原の目の前で宙に浮いていた。
そして目を凝らした麻友が見たのは、白刃取りでハート・プラカードを受け止めている、指原の姿だった。

「くっ・・うぅっ。」

ハート・プラカードを、歯を食いしばって受け止めた指原だったが、
その威力に押され、踏ん張っていた足が、少しづつ後ろに滑り始めた。

その時だった。
両の腕に、今までにない力がわき出るのを感じた指原は、ハート・プラカードを一気に押し戻した。

「うぉぉぉぉーっ!」

指原の手から離れたハート・プラカードは、麻友の左手前のフィールドで反射すると、そのまま壁に衝突して、四散した。

「ハート・プラカードを押し返すとは・・。」

はね返されたハート・プラカードの行方を見ていた麻友は、指原がいる方に視線を移すと、さらに驚愕した。
指原の右肩に手を置いているのは、咲良と呼ばれていたメンバー、
そして左肩に手を置いているのは、はるっぴと呼ばれていたメンバーの姿だった。

「さっき倒したはずなのに、何で・・。」

そう思った麻友は、指原の後ろを見てみると、やはり二人の身体は床に倒れたままになっている。
そして指原の方に手を置いている二人を見返してみると、後ろの壁も一緒に透けて見えていた。

「二人の指原への想いが、力となって現れているのか・・。」

そうつぶやいた麻友は、続けて指原に言った。

「仲間の想いを受け止めて、それを力に変えるとは、さすが指原。
でも、それだけの力を身につけても、フォーチュン・クッキーと、
その改良した技では、宝(タカラ)のフィールドを破ることはできない。
やはり、最後に勝つのは、この渡辺麻友だってことだね。」

そう言った麻友は、こんどは両手を上に挙げる。

「今度は決めさせてもらうよ。
ダブル・ハート・プラカード!」

麻友が両手を降ろして前でクロスさせると、二つのハート・プラカードが指原に向かっていく。

「!」

そのハート・プラカードの行方を見ていた麻友の目に、
今まで見たことのない構えをする指原の姿が目に入ってきた。

さらに、その指原の両肩に精神体となった咲良と兒玉の姿、
そしてさらにその後ろにも、先程校庭に居た、マジっちゃ学園の
45人以上(HKTメンバー全員)の精神体の姿が見えた麻友は驚愕した。

「メンバーの指原を想う気持ちが、実体化してるっていうの・・?」

そうつぶやいた麻友に対して、指原は言った。

「この技は、指原の思い入れがあるから、戦いでは使いたくなかった。
でも、みんなの想いに応えられるなら、そんなこだわりはどうだっていい。」

そう言った指原は、左肩付近に人差し指と、中指だけを立てた構えから、手を振り上げた。

「掟破りの・・ザ☆ピース!」

挿入歌:ザ☆ピース!(HKT.ver)

指原の手から放たれた衝撃波が、二つのハート・プラカードを切り裂いた。
そして、そのまま衝撃波は宝(タカラ)のフィールドを突き破ると、麻友の身体に向かっていく。

「くっ。」

あわてて両腕をクロスさせて防御態勢をとった麻友だったが、
持ち技二つを破った、指原の”ザ☆ピース”の威力を防ぐことはできなかった。

「うわぁぁぁぁーっ。」

そのまま後ろに飛ばされて、床に倒れた麻友は、もう体を動かすことはできなかった。
そして静まり返った教室を、おぼつかない足取りの指原が近づいていく。

「負けたよ、さっしー。
すごい技だった。」

麻友は負けを認めたのか、さっきまでとは違って、指原のことをニックネームで呼んだ。
それを聞いた指原も、戦いが勝利に終わったことを確信した。

「ハロプロ学園の、道重さんに教えてもらったんだ。」

「あの、伝統校の?それなら、やられても仕方ないね。」

麻友がそこまで話したところで、教室のドアノブを回す音が聞こえて、ドアが開いた。

「さしこちゃん、どこにいるの?」

奈子がドアから顔だけを出して、左右を見渡している。

「あっ、さしこちゃん。こんなとこに居た。」

ドアを半分開けにしたまま、奈子がトコトコ歩いてくる。
そして、指原の様子が分かるまで近づくと、奈子は心配そうな顔になった。

「えっ、さしこちゃん痛そう。大丈夫?」

指原は微笑むと、奈子に言った。

「指原よりも、咲良とはるっぴのほうが大変だから、二人を先に治してあげて。」

「うん、分かったー。」

奈子はそう言ってうなづくと、続いて入ってきた美久と一緒に、咲良と兒玉の治療に向かった。
すると、その様子を見た麻友が口を開いた。

「奈子ちゃん、可愛いね。
でも、いくら可愛くて好きでも、さっしーには、かなわない。
結局、最後には、さっしーのところに行っちゃうんだね。」

奈子を見ていた指原は、「えっ。」という顔をして振り向いた。

「もしかして、指原をハメたのって、奈子を独り占めするため・・?」

麻友はうなづいた。

「さっしーが、うらやましかった。
さっしーの周りには、いつもメンバーがいて、
私はいくら頑張っても、あまり人が近寄って来てくれなくて。
でも、自分の性格もあるから仕方ないと思っていたけど、
奈子ちゃんのことだけは、我慢できなくって、自分でもどうしようもなかった。」

そこまで言った麻友は、涙ぐんでいた。

指原は始めて聞く話だった。
麻友が自分の事をうらやましく思うなんて、思ってもみなかった。
そして、頭に手を当てて考え込んでいた指原は、再び麻友に視線を戻して言った。

「奈子は・・前から、今よりもっと小さいころから知ってるんだ。
今でも時々、お母さんって呼ばれることもあるし、友達とはまた違った関係のような気がする。
でも、奈子は一番好きな人が一杯いて、指原のこともそうかもしれないけど、
麻友も一番だし、最近だと、乃木坂学園の白石さんも一番って言ってた。」

「乃木坂の?」

麻友が聞き返す。

「そう。だから奈子が一番って決められないことを、周りの人が決めることってできないかなって思うんだ。」

そう言って奈子の方を見ると、咲良と兒玉が立ち上がり、
二人の治療を終えた奈子が、にこっと笑ってこちらに近づいてきた。

「ねー、さしこちゃん、麻友ちゃん。仲直りしようよー。」

それを聞いた指原は、麻友に目配せをした。

「奈子ちゃんが言うなら、仲直りするよ。」

麻友の言葉を聞いた奈子は、嬉しそうにぴょんぴょんと、飛び跳ねている。

「わーい、じゃあ今度はみんなで、おでかけしよ。」

そう言った奈子が、おでかけのポーズをすると、指原も

「おでかけ?」

と言って同じポーズをしたので、互いに相手の姿が面白くて、笑ってしまった。
そうして二人が笑っていると、またドアが開いて、
校庭の生徒たちをを倒した、マジっちゃ学園のメンバーが次々と教室に入ってきたので、
奈子はそちらに向かって走って行った。

そしてまた二人きりになったところで、麻友が指原に話しかけた。

「さっしー、私が言うのも何だけど、マジすか学園に戻ってこない?」

そう言われた指原が微笑んで麻友を見たところで振り向き、
マジっちゃ学園のメンバーが集まっている所まで移動した。
そして仲間と談笑する奈子の肩を抱いて言った。

「麻友、ありがとう。
でも、指原には、博多にこんな素敵な仲間が一杯できたんだ。
だから、こっちの学校で卒業することにするよ。」

そこまで言うと、今度は奈子の方を見て話しかける。

「奈子、久しぶりのマジすか学園、どうだった?」

「楽しかったー。さしこちゃんと麻友ちゃんと仲直りできたし、来て良かったー。」

奈子は満面の笑みで答えた。
そして、その笑顔を見た指原は、続けて言った。

「じゃぁ、マジすか学園にも通ってみる?」

「えっ!そんなこと、できるの?」

奈子は目を大きく開いて、驚いた表情をした。

「兼任すればいいんだよ。そうすれば、博多と秋葉原、両方の学校に通えるよ。」

そう言われた奈子は、ますます目を丸くして言った。

「やったぁ、それだったら、奈子、兼任して両方行く~。」

喜んだ奈子は、またうさぎのように、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。
そして指原が振り向くと、麻友が嬉しそうに、以前と同じ優しい笑顔で奈子を見つめていた。

ちょうどその時、中庭で風が吹いた。
季節外れに咲いていた桜の花びらが舞い上がり、指原のいる教室にも入ってきた。
その桜の花びらを見た指原は、何か、自分たちの関係が元に戻ったのを祝福してくれているように思うのだった。

挿入歌:桜みんなで食べた

~完~

※こちらの小説は”マジすか学園”、”マジやけん学園”を参考にしていますが、続編ではなく、完全新作で書かせて頂いています。
前作との関係上、矛盾点もありますが、ご了承下さい。 また、実在の人物とは関係ありません。
※挿入歌で使用した”ザ☆ピース!(HKT.ver)”は、HKT48 九州7県ツアーDVDBlu-rayに収録されています。
※挿入歌で使用した”桜みんなで食べた”は、桜、みんなで食べたのシングルに収録されています。

引用元 : http://48group.blog.jp/archives/1025246298.html

マジすかHKT~第四十七話

「フォーチュン・クッキー・ハイブリッドーッ!」

「ワンサイ・ラバー・フライド・ヒートアーップ!」

「フォーイッド・フラーッシュ!」

三方向から放たれたエネルギー波が、麻友に迫る。

”バチィィッ”

それぞれのエネルギー波が、麻友に当たる寸前のところで閃光が走ると、
全てのエネルギー波が集まって、正面の指原に向かって跳ね返ってきた。

”ズォォーン”

思いもしなかった攻撃に、よける間もなかった指原の身体は、教室後ろの壁に激突した。

「くはっ。そんな・・。」

力なく倒れた指原に、咲良と兒玉が駆け寄る。

「さっしー!」

「大丈夫?」

二人に声をかけられた指原だったが、体が思うように動かない。

「大丈夫・・じゃないかも。」

その時、三人の耳に、かすかな歌声が聞こえてきた。

「Aimer 君だけを Aimer 愛している たとえ貧しい時も愛している・・。」

そして、その歌声を聞いた咲良の顔つきが変わり、麻友に視線を移して言った。

「この歌は・・秘奥義、宝(タカラ)!」

「咲良、知ってるの?」

指原の問いに対して、咲良は前の麻友を見つめたまま答えた。

「関西に”塚(ヅカ)”って言われる道場があって、
そこで何年も修行を積んで、特に優秀な生徒だけが身につけられるという秘奥義、宝(タカラ)。
その技は、歌いながら集中力を高めてフィールドを作り出し、
攻撃を反射することができる、この世界で最強の技の一つって聞いたことがある。」

咲良の説明を聞いた兒玉は、深刻な面持ちになって口先をゆがませた。

「そんな・・攻撃を跳ね返すなんて、一体どうやって戦ったらいいの?」

攻撃の手立てがなくなり、動けないでいる三人を見て、麻友は今までかぶっていた、ねずみ色のフードを脱いだ。

「もう終わり?
3対1でこれじゃ、世話ないね。
じゃぁ、今度はこちらから行かせてもらうよ。」

そう言った麻友は、両手をポケットから出すと、右手を上に挙げた。

「・・この世界で一番支持されるのは、私なんだ。それを邪魔する奴には消えてもらうよ。
くらえっ、ハート・プラカード!」

麻友が右手を振り降ろすと、その手からスクエア状のエネルギー体が放たれ、
回転しながら指原に迫る。

「くっ、体が・・。」

指原は、よけようと体を動かそうとするが、先程の反射攻撃のダメージで思うように動けない。
その様子を見た咲良と兒玉は、互いにアイコンタクトをしてうなづくと、
両手を広げて、近づくハート・プラカードの前に立ちはだかった。

「二人とも、どうして・・。」

立ち上がることのできない指原が、咲良と兒玉を見上げながら言うと、二人が振り返った。

「さっしーには、この世界での生き方を、いっぱい教えてもらったから。」

「これで少しは恩返し、できるかな。」

微笑む咲良と兒玉にハート・プラカードが迫り、二人が光に包まれていく。

「さくらーっ、はるっぴーっ!」

名前を呼ぶ指原の声がこだまする中、二人の身体が宙を舞って壁に叩きつけられると、
そのまま抜け殻のように、力なく床に倒れ込んだ。

「そんな・・。」

倒れる二人を見て、呆然とする指原に、麻友は言い放った。

「その二人、随分、可愛がってたみたいだね。
でも、色々教え込んだようだけど、全然、役不足じゃん。」

そう言われた指原の動きが止まり、張り詰めた空気が漂う。

「役不足・・なんかじゃない。」

肩を震わせて振り向いた指原の目は、怒りに満ちていた。

「二人がいたから、戦おうって思えた。
二人がいたから、ここまで戦ってこれた。
これ以上、二人を・・指原の仲間を侮辱することは、許さない。」

そう言った指原は、力を振り絞り、膝に手をついて立ち上がった。

指原の迫力に気おされそうになった麻友だったが、気取られないよう、あえて気丈に振る舞った。

「まぁ、いい。
指原、てっぺんのお前を倒せば、この戦争、マジすか学園の勝ちだ。
そろそろ、決着をつけさせてもらう。」

そう言った麻友は、右手を高く掲げた。

「いけっ、ハート・プラカード!」

麻友の右手から放たれた、スクエア状のエネルギー体が、再び回転しながら指原に迫る。

※こちらの小説は”マジすか学園”、”マジやけん学園”を参考にしていますが、続編ではなく、完全新作で書かせて頂いています。
前作との関係上、矛盾点もありますが、ご了承下さい。 また、実在の人物とは関係ありません。

引用元 : http://48group.blog.jp/archives/1025245422.html

マジすかHKT~第四十六話

渡り廊下を出た指原は、3階から上に続く階段の前に来ていた。

「ここを昇れば、ラッパッパの部室・・。」

指原がそうつぶやくと、下の階段から声が聞こえた。

「さっしー。」

名前を呼ばれた指原が下からつながる階段を見ると、そこには咲良と兒玉がいた。
そして3階まで昇ってきた二人のうち、兒玉が指原を見て言った。

「さっしー、大丈夫だった?」

指原の制服は、見た目には痛んでいたが、先の戦いでは、柏木に戦う意思がなかったため、
自身の身体には、ほとんどダメージがなかった。

「ありがとう。指原は大丈夫だから。
それより、この階段を昇った先の部屋に、まゆゆがいるはず。
咲良、はるっぴ、行こう!」

そう言って階段を昇り始めた指原に咲良と兒玉は続いた。

挿入歌:12秒

部室の前まで来た指原は、ドアノブを回すと、
思い切り開いたため、扉が壁にぶつかって大きな音がした。
そして部室を覗くと、中は雑多に物が散乱しているだけだった。

「誰もいないね・・。」

そうつぶやいた咲良に対して、指原が言った。

「奥にラッパッパの練習場がある。
前にマジすか学園にいた、サドと前田ってやつが、
そこで戦ったって聞いたけど、まゆゆも多分そこにいるはず。」

そう言った指原は、部屋の奥に進むと、
今度はドアをゆっくりと右に開いて中に入った。
指原はドアノブを持ったまま部屋の左側を見たが、
そこには誰もいない。
そしてドアから手を放して、もう一歩中に入って右側を見ると、
壁に大きく広げられた校旗の前に人影が見える。

「まゆゆ・・。」

そして続いて部屋に入った咲良と兒玉がつぶやいた。

「あれがマジすか学園の・・。」

「てっぺん・・。」

三人の視線が集まると、麻友はネズミ色をしたフードの奥から、鋭い眼光を放った。

「やはり来たか、指原。
守り隊を倒すとは、随分、腕を上げたな。
いいだろう。
後ろの二人も含めて、相手をしてやる。」

そう言った麻友だったが、両手はフリースのポケットに入れたままで構えようとはしなかった。

「構えない・・?
余裕のつもりかもしれないけど、このまま倒させてもらうよ。」

そう言った指原と、右から咲良、左から兒玉がダッシュして、麻友に向かっていく。

”バチィィッ”

一瞬、電気が流れたようなショックを感じた指原は、
そのまま5メートルくらい後ろに弾き飛ばされた。

「かはっ。一体何が起こったの?」

左右を見渡すと、咲良と兒玉も同じように倒れている。
そしてその三人を見た麻友は、不敵な笑みを浮かべた。

「どうした?私を倒すんじゃなかったのか?
拳も届かないようじゃ、全然相手にならないね。」

麻友の言葉を受けて、兒玉が立ち上がりながら言った。

「何をしたか分からないけど、これじゃ近づけない。
さっしー、咲良、力を合わせて一緒に攻撃しよう。」

それを聞いた二人はうなづくと、立ち上がり、
指原は頭の上で手を回し始め、咲良は右の拳を引いて構える。
そして兒玉が左右の人差し指で前髪をかき分けると、
三人は一斉に技の名前を叫んだ。

「フォーチュン・クッキー・ハイブリッドーッ!」

「ワンサイ・ラバー・フライド・ヒートアーップ!」

「フォーイッド・フラーッシュ!」

三方向から放たれたエネルギー波が、麻友の目前に迫った。

※こちらの小説は”マジすか学園”、”マジやけん学園”を参考にしていますが、続編ではなく、完全新作で書かせて頂いています。
前作との関係上、矛盾点もありますが、ご了承下さい。 また、実在の人物とは関係ありません。
※挿入歌で使用した”12秒”は、12秒 のシングルに収録されています。

マジすかHKT~第四十五話

指原は渡り廊下に近づくと、走るスピードをゆるめた。
そして角を曲がると、渡り廊下に注意深く入っていく。

「!」

渡り廊下の中央付近まで来ると、突然前後の出入り口が見えなくなり、指原は漆黒の闇に包まれた。

”バシィッ”

指原は暗闇の中から攻撃を受けたため、ガードを固めると、
今度は後ろからの攻撃を受け、前のめりになって倒れた。

「くっ・・卑怯な・・。ブラック・シャドウの技を使うなんて、相変わらずの腹黒だね。」

指原はそう言って立ち上がると、手を握ったままで、両腕を横に開いた。

「なら、この闇を晴らさせてもらうよ。
フォーチュン・ハイブリッド・スパーク!」

指原の両拳が合わさると、強烈な光が発生して闇を照らし、奥にいる人影が見えた。

「そこだっ、ゆきりん。
フォーチュン・クッキー!」

指原の手からクッキー大のエネルギー弾が放たれ、柏木に向かっていく。

”ズォォォーン”

「きゃぁぁぁー。」

爆音とともに悲鳴が響き渡り、柏木由紀の身体が飛ばされる。
だが指原は、柏木がこんなにあっさりと倒せるなんて、妙だと思った。
そして柏木が倒れている方に歩きながら、顔が見えるまで近づくと言った。

「ゆきりん、わざとやられたんでしょ。」

柏木は、指原と目を合わせると、気まずそうに言った。

「バレたか・・。」

「でも、どうして?」

指原の問いに、柏木は一瞬、間を置いて返事をした。

「麻友を倒してほしいんだ。」

「?」

指原が不思議そうな顔をしたので、柏木は続けて説明をした。

「極楽の加藤っていう先生、いたでしょ。
ちょっと前、麻友がその加藤の車に乗って倉庫に突っ込んでさ、爆発させちゃったんだ。
そのあとも、しゃもじで加藤のことを殴ってたりしてたら、あいつ、頭おかしくなっちゃって。
髪が薄くなって、ちょび髭で着物姿になって、この学園の生徒の足を捕まえては、
ぐるぐる回すようになって、今じゃ”爆裂お父さん”なんて呼ばれてる。」

柏木の話はさらに続いた。

「あと、さっしーと仲良かった、フット後藤先生。
今の学園の雰囲気が嫌で、登校拒否になって、
最近じゃ駅前でジェッタシー・・だったかな、超ダサい歌、歌ってたよ。
さっしーのことだってそう。
あの写真のうわさが流れるように仕組んだの、麻友なんだよ。」

柏木の言葉に、指原は口元をゆがめて何度かうなづいた。

「やっぱり、麻友の仕業だったか・・。
でも、同じラッパッパでそれなりに仲良くやってたし、恨まれる覚えもないのに
何で指原のことをはめたんだろう?」

柏木は首を横に振って言った。

「それは私も分からない。
でも、以前の麻友は、仲間を痛めつけるような子じゃなかった。
さっしー、麻友を倒して。
まゆゆきりんって呼ばれた、あの頃に戻るように、目を覚まさせてあげて。」

指原は一度、廊下の先を見ると、再び柏木に視線を移して言った。

「目を覚まさせるのはともかく、指原は麻友と戦うために、ここに戻って来たんだ。
大家のこと、きたりえのこと、横山のこと、そして指原のこと。
麻友が何を思ってるか分からないけど、とにかく倒すよ。
それで、ゆきりんの思ってる麻友に戻ればいいかもね。」

指原はそう言うと、壁に背をもたれて座っている柏木の前を通り、
渡り廊下の入り口に近づくと、後ろから柏木に声をかけられた。

「麻友は・・新しい力を手に入れたんだ。
さっしーが、このマジすか学園にいた頃の麻友とは違うから、気を付けて。」

柏木の助言に対して、指原は背を向けたまま左手を上げて感謝の意を伝えると、
そのまま廊下を出て行った。

※こちらの小説は”マジすか学園”、”マジやけん学園”を参考にしていますが、続編ではなく、完全新作で書かせて頂いています。
前作との関係上、矛盾点もありますが、ご了承下さい。 また、実在の人物とは関係ありません。

マジすかHKT~第四十四話

「強い、強すぎる。私の力じゃ倒すことは無理なのかな・・。
ごめん、さっしー、咲良・・。」

川栄の圧倒的な力の前に、弱気になった兒玉は、思わず仲間の名前をつぶやいた。
そして、あきらめかけた兒玉が、拳のダメージを少なくしようと、
顔を横に向けると、その視線の先には、中西と谷が横たわっていた。

「そうだ・・。、二人を助けなきゃ。私は、まだやられる訳にはいかない。」

そう思った兒玉はもう一度腕でガードを固めたが、川栄はその腕に向けて、力まかせの拳を打ち続ける。

「もう諦めたら?いつまでも守り切れるものじゃないでしょ。」

そう言われた兒玉は、ガードしていた両腕を、頭の横にパタンと倒し、ノーガードになった。

「ハーッハッハッ、ようやく覚悟ができたようだね。これで止めだ。」

川栄の渾身の拳が兒玉の顔に迫る。

すると兒玉は、自分の前髪をかき分け、おでこを露出させた。

「フォーイッド・フラッーシュ!」

挿入歌:控え目 I love you !

兒玉のおでこから強烈なエネルギー波が発生し、カウンター気味に川栄の胸部に命中する。
そして川栄は、そのまま吹き飛ばされ、その身体は天井にめり込んだ。

「ぐふっ。そんな・・うそだろうが・・。」

そう言った川栄の身体は、抜け殻のように力なく床に落下すると、もう動くことはできなかった。
その様子を見た兒玉は、肘を使い、膝に手をかけて、立ち上がりながら言った。

「川栄李奈・・。強い敵だった。
全てのパワーをストロングポイントのおでこに集める、
一か八かの技だったけど、何とか倒せてよかった。」

そして立ち上がった兒玉は振り返り、中西と谷を見て思った。

「先に進んで、さっしーと咲良に合流しないといけないけど、二人を置いて行けない。どうしよう・・。」

その時だった、廊下の先から兒玉のよく知っている声が聞こえてきた。

「はるっぴさ~ん。」

「奈子ちゃん、それに美久ちゃんも。二人とも、来てくれてよかった。」

そして兒玉に近づくにつれ、全身に傷を負ってるのが見えてくると、奈子は心配そうな表情になった。

「はるっぴさん、大丈夫?今から奈子が治してあげる。」

そう言ってヒーリングを始めようとする奈子を兒玉は制した。

「待って、奈子ちゃん。私より、あの二人をお願い。」

奈子は兒玉の指差した方を見ると、床に倒れている中西と谷を見つけた。

「うん、分かった。」

と言って奈子は中西に近づき、頭を胸に抱くと、光の柱が立ち昇ってヒーリングが始まった。

「この人、何されたんだろう?治せると思うけど、少し時間がかかりそう。」

その奈子の言葉を聞いた美久が谷に近づくと、その頭を胸に抱いた。

「ん~っ!」

気合いを入れた美久からも、光の柱が立ち昇り、身体から暖かい光が発光し始めた。

「えっ!美久ちゃんも、ヒーリングできるの?」

兒玉が問いかけると、美久はにこっとして、

「へっへー、できるみたい。」

と、天使のような笑顔で言った。

そして兒玉は、奈子と美久の小さな肩に手を置いて、交互に顔を見合わせた。

「私は先に進まないといけないけど、智代理と谷のこと、任せても大丈夫かな?」

すると、奈子と美久は互いの顔を見てうなずいた。

「大丈夫、奈子たちはさっきも強そうな人達を、追い返してきたんだから。」

「そう、それに美久たち、もう子供じゃないもん。」

それを聞いた兒玉は微笑んで、二人の頭をなでた。
そして「お願いね。」と言うと走り出し、渡り廊下の奥に消えていった。

※こちらの小説は”マジすか学園”、”マジやけん学園”を参考にしていますが、続編ではなく、完全新作で書かせて頂いています。
前作との関係上、矛盾点もありますが、ご了承下さい。 また、実在の人物とは関係ありません。
※挿入歌で使用した”控え目 I love you !”は、控えめI love you ! のシングルに収録されています。

※フォーイッド・フラッシュ=フォーイッド(forehead):おでこ、フラッシュ(flash):閃光=おでこの閃光

マジすかHKT~第四十三話

マスクの下から現れた顔を見て、兒玉は背筋が凍りついた。

「智代梨・・。」

そこに見たのは、マジっちゃ学園のメンバー、中西智代梨だった。

そしてショックを受けて涙ぐみながら振り返り、もう一体の人形のマスクを広げると、
今度は同じマジっちゃ学園の谷真理佳の顔が現れた。

二人の顔を見た兒玉は昨年の春、終業式の時に、
中西と谷の二人と別れた日のことを思い出した。

☆☆☆☆☆

「え~っ、東京に旅行行くの?智代梨いいなぁ。」

うらやましがる兒玉に対して、中西はドヤ顔をしている。

「ハイハイハ~イ!谷は名古屋に旅行行くよ~ん。東京より絶対楽しいも~ん。」

「いやいやいや、旅行に行くなら東京でしょ。何で名古屋なの?」

兒玉は、また始まったと思いながら、二人の話を聞いているのが楽しくて仕方なかった。

「じゃあさ、旅行先のことをはるっぴに報告して、どっちに行きたいか決めてもらおうよ。
ね、はるっぴ、いいよね?」

中西は兒玉を見て、同意を求める。

「え、私?う~ん分かった。二人の土産話、楽しみにしてる。」

そう答えた兒玉に、中西と谷は「じゃ、また新学期にね。」と言って別れた。
だが、二人は旅行に行ったきり、帰ってくることはなかった。

☆☆☆☆☆

兒玉はもう涙が止まらなかった。

「何で?何でこんなひどいことができるの?」

泣きじゃくる兒玉に構わず、川栄は自分の靴を脱いで匂いをかぎ始めた。

「ハ~ッハッハッハッ、くっさ~。
せっかく黒い三銃士(小嶋真子、西野未姫、岡田奈々)に拉致らせたけど、
そいつら役立たずは、もういいや。
今度はお前に靴の匂いをかがせて、人形にしてやる。」

そう言った川栄は、再び靴を履くと、ゆっくりと兒玉に近づいてくる。

そして友達を侮辱され、怒りに震える兒玉は涙を拭いて立ち上がり、川栄の顔をにらみつけた。

「生意気な・・。」

その視線が気に入らない川栄は、右の正拳を兒玉の顔にめがけて放った。
兒玉は軽快なフットワークでよけると、拳を放つが、川栄もウェービングで上手くよける。
すかさず、兒玉はローキックで足元を狙うが、川栄はこれもジャンプをしてよけた。

「さすが、守り隊と言われるだけあって、簡単にはいかないか・・。」

次の攻撃の手立てを考える兒玉に対して、川栄は相手の思った以上の動きの良さにイラついていた。

「チョコマカと・・さっさと、やられちゃいなよっ!」

そう言って川栄は右の拳を振り下ろしたが、冷静にその拳をよけた兒玉は、
その右腕をつかんで背負い投げにかかる。

”バシッ”

兒玉は川栄をつかんだ手に衝撃を受けるとともに、背中が軽くなった。
川栄は、残った左腕で力まかせに、兒玉の組手を外したのだ。
一瞬、戸惑って動きが止まった兒玉の両足を、川栄は左足で払った。

「かっ・・。」

兒玉は足が払われた勢いのまま浮き上がり、一回転すると、そのまま床に背中から落ちる。

「くはっ。」

そして川栄は、間髪入れず、兒玉の胴体部に乗って身動きできなくすると、顔に向けて拳を放ってきた。
兒玉は両腕でガードを試みるが、思ってもいなかった川栄の馬鹿力の拳を受けて、
腕のガードが緩み、顔にも拳を受け始めた。

「強い、強すぎる。私の力じゃ倒すことは無理なのかな・・。
ごめん、さっしー、咲良・・。」

川栄の圧倒的な力の前に、弱気になった兒玉は、思わず仲間の名前をつぶやいた。

※こちらの小説は”マジすか学園”、”マジやけん学園”を参考にしていますが、続編ではなく、完全新作で書かせて頂いています。
前作との関係上、矛盾点もありますが、ご了承下さい。 また、実在の人物とは関係ありません。

マジすかHKT~第四十二話

廊下を走っていた兒玉は、左前方に入り口を見つけた。

「あれが、渡り廊下の入り口・・。」

兒玉はそのまま角を曲がって、暗い渡り廊下へ入っていく。

”バシィッ”

突然、左から殴られたような衝撃を受け、右の壁付近に飛ばされた兒玉は、受け身を取ろうとする。

”バコォッ”

床で受け身を取ろうとする寸前に、今度は蹴られたような衝撃で、
兒玉は渡り廊下の外まで飛ばされ、壁に激突した。

「かはっ。・・二人いる?
守り隊は一ヵ所に一人じゃなかったの?」

そう言った兒玉が、渡り廊下の入り口を目を凝らして見ると、いくつかの影が見える。

「ハーッハッハッハッ!お前、知ってるか?アメリカの99%は電球で出来てんだよっ!」

そう言って出てきた女生徒は、両手に何か組木のようなものを持っている。
続いて女生徒の左右から、落書きのような顔のマスクを被り、
制服を着た、女生徒と同じくらいの背格好の人形が出てきた。
その人形からは無数の鋼線が出ていて、女生徒の持つ組木へとつながっている。

「人形使いか・・。」

兒玉のつぶやきに、その女生徒は口元に笑みを浮かべて言った。

「私は守り隊の一人、川栄李奈。この渡り廊下には入れさせないよっ。」

相手の名乗りを受けた兒玉も返す。

「私はマジっちゃ学園の兒玉遥。ここを通って階段、昇らせてもらうよ。」

そう言った兒玉は、ダッシュをして川栄に向かっていく。
すると、川栄は組木を持ち上げて、動かし始めた。

「行けっ、ハステ、ワステ。」

川栄の掛け声とともに左右に居た人形が前に出て、兒玉との間に立ちはだかる。

「ちょっと、どいてよっ!」

そう言って進もうとする兒玉に、二体は同時に襲いかかった。


ハステと呼ばれる人形が拳を放ち、ワステと呼ばれる人形が蹴りをくり出す。
二体の連続攻撃に、兒玉はそれ以上進めなくなり、防戦一方となった。

「これじゃ投げることもできない。何とか二体を分断しないと。」

そう言った兒玉は人形たちの攻撃の隙をついて、ワステに蹴りを放った。

”バスッ”

ワステはわずかに後退して、二体の間にひずみができる。

「今だっ。」

兒玉はバックステップをして、人形たちとの距離をとった。

「逃がさないよっ!」

そう言って川栄は組木を持ち上げてハステとワステに兒玉を追いかけさせる。

「これだっ。」

兒玉はバックステップをやめて立ち止まると、先行してきたハステの制服をつかんだ。

「背・負・い・投げー!」

ハステは宙に舞って、組木とつなぐ鋼線が切れ、床に叩きつけられた。
そして兒玉はすかさず体勢を立て直すと、今度はワステを捕える。

「巴・投げー!」

ワステも宙を舞うと、鋼線が切れ、そのまま床に落ちる。
そして兒玉は反り返って両手を使い、飛ぶようにして立ち上がると、川栄を指差して言った。

「さぁ、やっと一対一になれたね。覚悟してもらうよっ。」

そう言われた川栄は、ため息を一つついて、話し始める。

「それはいいけど、ハステとワステの中に入ってる奴、可愛そうじゃねぇ?
お前も知らない奴じゃないだろうに。」

兒玉は「えっ。」と言って振り返り、」動かなくなった人形を見ると、
どちらもマスクが破れ、中の顔が少し見えている。
そして川栄の様子を確認しつつ、後退して人形に近づくと、
破れた口をさらに広げて、中の顔を確認する。

「!」

その瞬間、兒玉は背筋が凍りついた。
マスクの下から現れたのは、以前から行方不明だった、兒玉の良く知る人物の顔だった。

※こちらの小説は”マジすか学園”、”マジやけん学園”を参考にしていますが、続編ではなく、完全新作で書かせて頂いています。
前作との関係上、矛盾点もありますが、ご了承下さい。 また、実在の人物とは関係ありません。

マジすかHKT~第四十一話

咲良は残りの力を振り絞って立ち上がり、ファイティングポーズをとった。

「やっとやる気になったみたいだね。」

島崎も構えて、一瞬、時が止まったように静寂が訪れる。
そして互いの拳が繰り出された。

「ソルティー・ブリザード!」

「ワンサイ・ラバー・フライド!」

氷と熱、互いのパワーが中間点でぶつかり合う。

”ズガァァーン”

均衡していたかに見えたパワーは、これ以上押し込めなくなると、壊れて四方に飛散した。

「技の威力は・・。」

「互角・・。」

島崎と咲良は互いを見合った。
そして島崎は「フッ。」と笑って言った。

「咲良、強くなったね。」

「ぱるるさん・・。」

「なら、この島崎遥香、最大の拳を使わせてもらう。覚悟はいいね?」

そう言った島崎は、広げた両腕の手にパワーを集中する。

「フォーエバー・プレッシャー!」

島崎の両手から放たれたエネルギーが、前で合わさって塊となり、咲良に向かって行く。
島崎の技が自分に近づいてきても、咲良は冷静だった。

「ぱるるさん、私のマジ、ぶつけさせてもらいます。」

そう言った咲良も技を繰り出す。

「ワンサイ・ラバー・フライド・・・ヒートアップ!」

挿入歌:片思いの唐揚げ

咲良の間近に迫っていたフォーエバー・プレッシャーが押し返され、
いつもの何倍もの熱量になったワンサイ・ラバー・フライドが島崎に命中する。

”ドガァァーン”

島崎の身体が宙を舞って、床に叩きつけられた。

「ぱるるさん!」

横たわっている島崎に、咲良が駆け寄って抱き起こす。

「咲良・・効いたよ。」

その島崎の顔は、先程とは違い、昔の優しい顔に戻っていた。

「ぱるるさん、私の本気(マジ)を引き出させるために、こんなことさせてしまって・・すいません。」

島崎に謝った咲良は、涙が止まらなかった。

「そっか・・バレてたんだね。
それより、咲良が勝ったんだから笑いなよ。
泣くと可愛い顔が台無しだよ。」

そう言って微笑んだ島崎は、咲良の涙を指でぬぐいながら言った。

「この前・・夢を見たんだ。
私がてっぺん(番長)のマジすか学園に、咲良が鹿児島から転校してきて、
この学園の生徒を次々に倒して、てっぺんを目指していくんだ。
それから、いつか、こんな日が来るんじゃないかと思っていたから、咲良とまた会えて嬉しかったよ。」

そう言うと、島崎は昔のように咲良の頭をなでた。

「いい仲間がいるみたいだね。
咲良が急所を外してくれたおかげで、私は大丈夫だから、早く行ってあげて。」

島崎の言葉に、咲良は泣きながら、ぎこちない笑顔でうなずいた。
そして立ち上がった咲良に島崎は言った。

「私はいつでも、咲良を応援してるから。」

咲良は「ありがとう、ぱるるさん。」と言うと、涙をぬぐいながら、渡り廊下を出た。

※こちらの小説は”マジすか学園”、”マジやけん学園”を参考にしていますが、続編ではなく、完全新作で書かせて頂いています。
前作との関係上、矛盾点もありますが、ご了承下さい。 また、実在の人物とは関係ありません。
※フォーエバー・プレッシャー=フォーエバー:永遠、プレッシャー:プレッシャー=永遠プレッシャー
※挿入歌で使用した”片思いの唐揚げ ”は、スキ! スキ! スキップ! (Type-A)[CD]のカップリングとして収録されています。

マジすかHKT~第四十話

「・・プリズン(監獄)に居たんだ。」

驚きの表情を見せる咲良に対して島崎は、謀略によってプリズンに入れられたこと、
そこでの内部抗争、そしてプリズンを脱獄してきたことを話した。

「脱獄して家に帰ると、家族は散り散りになっていて、
行く当てのなくなった私は、まゆゆさんに声をかけられたんだ。
それから私は、まゆゆさんの、そしてマジすか学園が覇権を握るための手伝いをすることになった。
咲良・・私はお前の知ってるぱるるじゃない。マジすか学園のぱるる・・お前の敵だ!」

そう言ったぱるるは拳を構えた。

「嫌・・。私、ぱるるさんと戦うことなんて、できない。ぱるるさんを傷付けたくない。」

咲良は半泣きになって、首を横に振りながら言った。

「咲良・・来ないのか。それならこれを受けてみろ。ソルティー・ブリザード!」

島崎の拳から冷気と無数の氷が放たれて、咲良に近づく。

”カンカンカンカン”

咲良が構えるアームガードに氷が当たり、金属音がこだまする。
技が防がれた島崎は言った。

「面白いモノを持ってるね。でも、これならどう?」

ダッシュして、間合いを詰めた島崎が右の拳を放つ。

”ガツゥゥーン”

拳をアームガードに受け止められた島崎は、口元に笑みを浮かべている。

”ビシッビシッ、パリィィーン”

咲良の左腕のアームガードがひび割れて、真っ二つに割れる。

「!」

咲良が驚いたのもつかの間、島崎の左の拳が放たれ、残った右のアームガードで受け止めたが、
こちらも音を立てて割れてしまった。
そして島崎は間髪入れず、無防備になった咲良の身体に、下からアッパー気味の拳を放つ。
咲良もアームガードのなくなった両腕をクロスさせて防ごうとするが、
島崎の拳は咲良の腕をはじいて腰に命中し、変身ベルトを粉砕した。
そして、その余勢で宙に浮いた咲良の身体は、後ろに飛ばされて、壁に打ちつけられた。
そのまま力なく床に倒れた咲良は、頭を打ちつけて、ヘッドガードも粉々になって失った。

「つ・・強い。さすがぱるるさん。
でも、さっしーの攻撃でもやられなかった防具がここまで砕かれるなんて、一体何をしたの?」

床に手をついて立ち上がろうとする咲良が見たのは、凍りついた防具の破片と、両拳に氷をまとった島崎だった。

「咲良・・、守ってるだけじゃいけないよ。
どんな防具でも、凍らせてもろくしてしまえば、私の氷の拳で砕くのは簡単だからね。」

そして、ひざに手をつきながら、なかなか立ち上がれない咲良に言った。

「咲良、立たないと。立って向かってこない限り、ここを通ることはできないから。
このままじゃ仲間のところに行くことなんて、できないよ。」

その言葉を聞いて、咲良は幼稚園の頃に行ったキャンプで、島崎と二人、山道で迷った時のことを思い出した。

☆☆☆☆☆

「いたっ。ふぇ~ん、ぱるるちゃん、咲良もう立てない。」

転んだ咲良に島崎が駆け寄る。

「さくちゃん、大丈夫?でもね、立たないと。立って進まないと、帰ることはできないから。
このままじゃ、パパとママのところに帰れないよ。」

「えっ、やだーっ。パパとママのところに帰るー。」

泣きながら立ち上がった咲良の頭をなでると、島崎は咲良の手を引いて山道を下り、二人は家族の元へ帰った。

☆☆☆☆☆

「ぱるるさん、もしかして・・。」

咲良は残りの力を振り絞って立ち上がり、ファイティングポーズをとった。

※こちらの小説は”マジすか学園”、”マジやけん学園”を参考にしていますが、続編ではなく、完全新作で書かせて頂いています。
前作との関係上、矛盾点もありますが、ご了承下さい。 また、実在の人物とは関係ありません。